カモシカロングトレイル

トレイルランニング・登山・ULハイク・マラソン。書き捨て御免。※本ブログはプロモーションが含まれています。

テントの大きな穴の補修をしました

 

テントの補修依頼を受けました

先日、友人からテントの補修相談を受けました。

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これ。

簡単に出来ると思い、気軽に修理を請け負ったものの、聞いていたサイズよりもかなり大きい。

「これは難しいぞ・・・!」

 

そうです。大きい穴は難しいんです。

主なテントの補修方法

テントの補修方法はいくつかあります。

1.補修パッチ・リペアシートで補修

小さな穴や溶けた跡ならリペアシートで十分補修できます。

そこまで防水性が求められない箇所ならダイソーなんかに売っているナイロン補修パッチでも良いと思います。

ただ、ほとんどのリペアシートはシルナイロンやシリコンコーティングには対応していません。

シリコンには通常のシームテープやシールは付着しない為、特殊なシールをする必要があります。

簡単に手に入る物では、ギアエイドのリペアシートしか選択肢はありません。

2.突き合わせはぎで縫い合わせてシームテープを貼る

小さな裂けなら、突き合わせはぎで縫い合わせてシームテープを貼るだけでも充分だと思います。


突き合わせはぎ 参考:ミシンの世紀

この場合、裂けの両サイドはしっかりと繰り返し補強縫いした方が良さそうです。

しっかり裏側からシームテープさえしていれば、防水できます。

しかしこれも、シルナイロン素材だと通常のシームテープが使えませんので、ギアエイドのシルナイロン専用のシームグリップを塗る必要があります。

シームテープよりも手間と技術が必要です。

3.別布を当てて縫い合わせシームテープ処理

大きな穴が開いていると補修パッチが使えませんし、強度も無くなります。

また、強度が必要な個所だと、そこから更に破損する可能性が高くなりますから、しっかりと縫い合わせる必要があるので、別布を当てる必要が出てきます。

これは素人だと一番やりたくないパターンで、何故かというとテント素材は扱いがデリケートかつアイロンが当てづらい、縫いづらい、そもそも素材が高い・・・など、難易度が跳ね上がるからです。

必ずしもミシンは必要ないんですが、手縫いもアホみたいに難しいです。

「ブスッ、ツルッ」みたいな縫い感になるので、縫い合わせになると難しいんです。

また、縫われる側(テント本体)の方も返し縫いを本当はしたいのですが、穴の場合は返し縫いをするとシワが寄ってしまう為出来ません。

ここも一工夫必要なんですよね・・・。

テントの大きな穴の補修開始

最初はパッチでどうにかなると思っていたんですが、テント素材を見たら、まさかのシルナイロン!マジかよ・・・。

シルナイロンだと、うえで紹介したギアエイドの補修パッチしかないのですが、明らかにパッチ(7.6×12.7cm)よりも大きい。

最悪だ・・・と思っていたら、どうも内側はポリウレタンコーティングで、シリコンコーティングじゃないみたい。

それなら大きなホシュウパッチで・・と思ったけど、場所が場所だけに強度が心配過ぎる。

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そもそも、裏側から貼れたとしても表側をそのまま、というわけにもいかず、やはり両面から貼り合わせたいけど表面はシリコン対応じゃないと張り合わせられない。

 

・・・という事で、覚悟して久しぶりのミシン仕事をする決意をしました。

実は昔はミシンをカタカタ言わせて服を作ったりしていたもんです、完全に独学の趣味レベルですが。

昔、って言っても大昔の話・・・。

 

という事で資材の購入。

 

ポリウレタンコーティングされた防水のリップストップナイロン、という事でこれを買いました。

あとはシームテープ。

これは機能的には問題なかったんですが、届くまでに1か月くらいかかりました・・・。

 

さて補修計画

テント生地の方を返し縫い出来ないので、継ぎ当て生地の方で複雑な返し形状を作るしかありません。

こんな感じです。

これはすごく面倒くさい。

あと、始める前に生地を少し使って、アイロンの熱にどれだけ耐えられるか、どれだけの温度でクセを付けられるか。

どのくらいの糸調子で縫うのが良いのか、などをテストしておくのをオススメします。

工程1.テント穴の形を整える

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形を整えます。複雑な形状のままでは当て布側の加工ができませんから。

 

工程2 型紙を作る

工程1で開けた穴より一回り大きな型紙と同じ大きさで微かに小さな内径の穴をくりぬいた型紙を作ります。f:id:ultratrail:20230311145558j:image

工程3 継ぎ当て布を切る

余裕をもって当て布を切っておきます。

これくらい。

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工程4 アイロン掛け

型紙に合わせて布にアイロンをかけていきます。

角の丸みは少しずつしわを寄せてアイロンでクセを付けていきます。

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工程5 アイロン掛け2

穴の開いた方の型紙をシールで張り、更に穴から外側に布を出してアイロンでクセを付けていきます。

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工程6 更に内側に返してクセを付ける

このあたりから布が寄ってよって寄りまくるのでかなりしんどくなります。

頑張ってくださいとしか言いようがありません。

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工程7  テントと縫い合わせる

はい、めっちゃとびましたー。

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いや、ホントごめんなさい。とにかくシルナイロンが難しすぎて難しすぎて2時間くらいこの工程でマゴマゴしていました。
写真も見て貰ったら分かる通り、出来も悪いです・・。

とにかくネックなのは折り返しが多くなること。これがどうしても難しくなる。

 

工程8 シームテープ加工をする

これは貼って当て布を当てつつアイロンかけするだけです。

画像は取り忘れ。

 

振り返り

なんとか完成しましたし、機能的にはまったく問題ないんですが、出来が悪すぎるのでもうこれ買い取りしようと考えています。

そもそも簡単にいくと思って無料で請け負ったのがアホでしたが、まあちょうど気兼ねなく使えるテントを探していたので良しとします。

 

皆さんも大きな穴は素直にテント修理業者に出すか、購入店に相談するのが良いかと。

それでも大半がパーツ購入対応になると思うので、数万の出費になると思いますが・・・。

 

しかしまだ両面シルナイロンじゃなくてよかった。

小さい物なら定評のあるギアエイドのシルナイロン用の補修パッチでいけますが、もし縫うとなったら両面シルナイロンはサラッサラなので更に手間がかかったはず・・・。

想像しただけでゾッとします。