カモシカロングトレイル

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超高機能!帝人オクタ採用のMHWエアメッシュのレビュー

登山界に現れた肌着兼保温着という新カテゴリー

突然ですが、OMMでは予備のベースレイヤーが必携となっています。

しかしながらTシャツを予備で持つ、というのはほとんどの経験あるトレイルランナー的には疑問を持つとも思います。

というのも、トレラン装備でレース以外で山に行こうと考えた場合、それなりに転機が良くて、肌に着ていれば30分くらいでまあまあ乾くベースレイヤーを持っている人が多いのではないでしょうか。

更に同じようなベースレイヤー、もしくはウールのベースレイヤーを持っていく、というのはなかなか無駄に感じる。

とはいえ、ケガや悪天候での停滞時に万が一服がビショビショだと本気で死ねるので、地肌にも着られる、保温性の有るミドルレイヤーを必携品のベースレイヤー兼用として持っていく人が多かったように思います。

 

私もアイスブレイカーのミドルレイヤーを持って行ったのですが、これが重い。

260シリーズ(260g/㎡の厚手のメリノウール生地)だったので、300gもありました。

 

 

ただ、これは温かい、肌サラサラ、濡れても保温性を保つ、防臭性は最高。

しかも耐久性も高いという超安心なミドルレイヤーなので、私の10年以上に渡る春夏秋冬の山には欠かせないアイテムでした。

アイスブレイカーに限らずスマートウールなんかでも、メリノウールのシャツだと

厚手の保温着の300g、薄手ロンTの180g、Tシャツ80g、というのが相場です。

 

最新のアクティブインサレーションなんかと比べても見劣りするものではないんですが、最近現れた肌着兼保温着、ベースレイヤー兼アクティブインサレーションみたいな服には暖かさ/重量の効率では太刀打ちできない感じです。

肌着兼保温着、有名なのはパタゴニアのキャプリーンエアですね。

デザインもウケて、トレイルランナーには大人気です。

私にとってはそういう使い方が出来る服がメリノの厚手ウェアだったんですが、どうにもレースに使うには重い。

着ている間はともかく、ザックに入れていると重いし嵩張ります。

メリノウール特有の肌触りの良さとか、連続して着ても匂わないのとかは本当に良いんですが・・・。

 

ということで、今回はこの「ベースレイヤーとしてもアクディブインサレーションとしても使える便利かつめっちゃ軽量な服」を考えてみました。

候補1 OMMコアフーディ

OMM(オリジナルマウンテンマラソン) Core Hoodie M Black

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重量115g

最近よく目にするようになったのがこのOMMコアフーディです。

115gと、とてつもなく軽い。

 

断熱繊維として有名なプリマロフトを編み込む事でウールニットの様に仕上げている、プリマロフトアクティブ(旧称ネクスト)を使用しています。

 

吸水性も高く、ベタ付かない為に、地肌に着ても汗の処理も上手くできると評判。

ただ、耐久性には従来の素材に対しても大きく劣る、というのが実際の使用者の評価で多いです。

価格は約20,000円ですが、非常に人気で、最近品薄の為、サイズと色によってはプレミア価格で取引されています。

プレミア価格の物は買う気が起きない・・・という事で見送り。

あと、最近トレラン界隈だと誰も彼も持っているので、今更買っても面白くなかろう、という天邪鬼スピリッツが働いたのも見送りの一因。


候補2 ミレー ワッフルウールクルー

重量192g

ウール70%を使用し、コンピューター網みで仕立てたワッフルウールです。

これも使っている方の間では防臭性、保温性、汗離れ、通気性、全て評判が高い。

キャプリーンエアととても似た生地ですが、お値段的にもこちらの方が断然安いです。

ただ、やはり重いのと嵩張るのがネック。

メリノが好きな私はずっと気になっている商品です。しかも今セール中。

こうやってミレーは意外と新素材を使った高機能商品をどんどん投入してくるので、数年後は登山ウェア市場が変わってくるかもしれません。

ベースレイヤー兼ミドルレイヤーと考えると、とても安いうえに192gはもちろん軽いです。

これに凄く興味を持っていたんですが、探している途中に面白い製品に出会ってしまった。

 

候補3  マウンテンハードウェア エアメッシュ

 

 

重量:120g

これ、軽さがヤバイです。OMMのコアフーディ並み。

ほぼTシャツ。

実は、日本が誇る繊維メーカー帝人が新規に開発した超軽量超保温素材のオクタを使用しています。

このオクタ、途轍もなく評判が良くて(SNSではぜんぜん知名度ないですが)、使用した製品も2022年12月現在でやはりかなり売り切れてきています。

このマウンテンハードウェアのエアメッシュは私の好きなハーフジップがありましたから、これを買ってみました。値段も10000円ほどと、安いし。

 

という事でいつもの様に続けてレビュー!

帝人OCTA使用!マウンテンハードウェア エアメッシュレビュー

生地・ディティール
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うむ。

持った瞬間、軽さにビビります。

見た目の嵩と比べて軽すぎる。

薄手のTシャツですよ・・・。


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ハーフジップ、イカしてます。

暑いときはここを全開にすれば、涼しさもかなり違うはず。


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表地はまるっきりメッシュ。

伸縮性も吸水性もとても高いんですが、意外と結構丈夫で、多少引っ掛けても大丈夫そうです。

これはOMMのコアフーディとは大きく違い、そこそこ雑に扱えそうですよ。

ただ、気持ち的にはやはり軽すぎて信用出来ないw


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コレが裏側。

モヘアの様な不規則な毛の生え方です。

指が簡単に透けるほどの生地。


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袖も裾もドローコードやスナップは無く、ゴムである程度締まっている感じです。

まあそうだよね。


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サムホールはこんな感じ。しっかりとフィットする。

やっぱりマウンテンハードウェアは作りが丁寧で細かい。

 



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175cm、B93W73の人間がSサイズを着てこんな感じ。ジャストサイズ。

お腹ももっと出ていてもぜんぜんイケそうです。

袖長さはサムホールをすると丁度良い。

サムホール無しだと若干余裕がでてそれもいい感じ。

 

一つ気になっとのは収納性。

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ロフトが潰れないのでそこまで小さくならない。

軽さの割には、ですが。

パッカブルになったりもしないです。

 

ちなみに重量は実測119g!

クルーなら90gを切るという情報も有ります。驚異的。

 

屋内の使用感

凄く良い。良い。とにかく暖かい、肌触りも最高。メリノウール以上です。

体重をかけてもロフトが潰れ切らないので、ソファの背に持たれていても背中も蒸れない。

寝ている時なんてめっちゃ暖かい。厚手のトレーナーなんかよりも暖かいです。

パタゴニアのR1とR2の間くらい。

汗をかいてもめちゃくちゃ吸水性が高いし、すぐに汗を吸い上げてくれるので、肌が汗ばむのも生地が触れない脇の下くらいです。

部屋着と寝間着としては100点に近いです!

屋外での使用感

肌に直接着て、外でも子供との散歩に何度か使いました。

 

暖かい。ただし風が吹くと風が冷たい。冷たいけどなんか暖かい。

凄く不思議な感覚です。

ウェア自体が暖かくなっている感じ。

恐らくですけど、繊維間の空気が閉じ込められているだけではなく、自分の発する輻射熱でオクタ繊維内部と繊維間に閉じ込められた空気が温められて、その繊維から輻射熱が出て自分の体も温められている、という感じです。

スカスカ目のウールセーターと似た暖かさ。

何かにそっくりだな・・・と思ったけどアレだ。

セディショナリーズのモヘアセーターだ。

パンク服の定番ですね、はい。あんな感じ。

風が有る日は上にウィンドシェルを着るとかなり暖かい。

レインシェルなら風が吹いてもめっちゃ暖かかったです。

-5℃の中、ダウンセーターの下に着たらむしろ暑かった。

汗ばむくらい。

コレとダウンだけですよ!?ヤバイ。しかも全然蒸れない。

こんなの初めて。

 

ランニングでの使用感

問題のランニング。

まあ使う前から「最高なんだろうな」という予感はしている。

-3℃の中、肌に直接エアメッシュ、その上にウィンドシェルを着てスタート。ちなみに下はデカトロンのロングパンツ。

これも通気性はとても良いです。

ultratrail.hatenablog.com

走り出して2キロでもう暑い。

ウィンドシェルを脱ぎます。コイツ単体。

しかし・・・寒くない。暖かい。

冷たい風はビュービュー入ってくるし、換気されまくりで肌はカラカラです。でも暖かい。

恐らく皆さん、経験したら驚くはず。

私の稚拙な言語化能力を限界まで使って表現すると、「体表が点で寒いけどその寒い点も含めて暖かい何かにふわっとまもられている感じ」です。

それから何度も色々な条件で使ってみましたが、暑い時も汗抜けしまくり、汗吸いまくりで快適。

寒くても暖かい。不思議な服です。

なにより軽い!軽すぎます。

着ているのを忘れる、というのはこのこと。

しかしさすがに氷点下だとお腹は冷える。

氷点下でこれ一枚をパンツインしないならメリノウールの腹巻き必須。

 

 

でもね、凄いのがウィンドシェル着て閾値走で汗でビショビショ(みぞおちまでビタビタ)になっても、30分これ単体でジョグしてたらほとんど乾くんですよ・・・。

そんな保温着あります??

 

そして使ってみるとわかりますが、表地のメッシュは丈夫で伸縮性も有るので、そこまで神経質にならずに済みます。

最近流行りの極薄のウィンドシェルやパタゴニアのキャプリーンエアよりは丈夫そう。

なにより財布に優しいから使いやすい!!

まとめ

良い点

  • とにかく軽い、信じられない軽量性
  • これ以上はないくらいの通気透湿性
  • 風に吹かれてもあまり落ちない保温性
  • 競合ウェアと比べて丈夫なボディ(ザック背負えます)
  • 途轍もなく高い吸水性と走ってたら30分で乾く速乾性
  • 濡れてもある程度暖かさを保つ
  • 競合ウェアと比べて安い

悪い点

  • 前面が寒くて後ろだけ超快適なのでお腹が冷える事も
  • 吸水性高いので毎回洗わないとまぁまぁ臭くなる(当然)
  • もうほとんど売れていて手に入りにくい
  • 多分めっちゃマイクロプラスチック出す

ええと、多分めっちゃ環境に悪いです。

マイクロプラスチックの大部分がウェアなんじゃないか、中でもフリース系なんじゃないか、と言われている昨今、地肌に着るコレ系のウェア、多分めっちゃマイクロプラスチック出します。

マイクロプラスチックが本当に環境に悪いかどうかは知らんけど。

だからパタゴニアには扱えないでしょうね、帝人OCTA。

 

今回は2022のベストバイアイテムだったかも。

まだ記事にしていないので詳しくは書きませんが、マウンテンハードウェアの某ウルトラライトテントと同着1位かもしれません。

 

正直言って、お金余っている人はすぐに買ってほしいくらいの新しいウェアです。

特に寒い時期のランニングには最高なのでは??

気に入らない人も、着たら「なんじゃこりゃ?!」って驚くのは間違いない。

 

おまけ・とにかく帝人のオクタは凄い!

帝人のオクタ、とにかく凄いです。


なんかこういう中空の糸がタコアシ断面していて更に絡み合ってるのでめっちゃデッドエアを保ちます(適当)。

いやしかし、本当に暖かい上に吸水速乾性もめっちゃ高い。

今年のSSとAWで様々なアウトドアウェアメーカーが採用していますが、大して話題にならなかったのに完売製品が多いです。

店頭で手に取れば、多分皆さんもすぐに買いたくなるはず。それくらいヘンな生地。

アークテリクスなんかはPROTON FL HOODYの内張りにOCTAを使用していますが

ARC'TERYX(アークテリクス) アウター サイズ:XL パーカー・スウェット Arc'teryx Proton FL Hoodie Conifer メンズ [並行輸入品]

それだと通気性も無くなるし、ただの軽量で吸水性の高いだけのものになっちゃうので、やはり、今回紹介したように、オクタをメッシュに貼りつけたOCTA・CPCP生地を単体で使うみたいなのが一番驚異的な性能を発揮できると思います。

 

ただ、オクタ繊維は他にも色々な生地になって使われ始めていて、ダブルラッセルのワッフル調の生地の繊維としてもつかわれています。

これだともう少し重くなるが、丈夫、かつ保温性を向上させた、と言った感じ。

カリマーのサーマルシリーズもそう。

 

こっちは抗菌加工までして190g。

しかも安い!

カリマーは最近、日本規格で超軽量ダウンとかザックとか、本当に色々な先鋭的な物を出しています、実は。

本国だと今や謎の靴メインの商品展開みたいですが・・。

 

Teijin Octa、今後は高密度で織ったダウン封入用生地とか、更に保温性を向上させた生地とか・・夢が広がります。

今後数年、アウトドア業界やアパレル業界を席巻するかも?

 

ちなみに、他にもフォックスファイアがオクタCPCPの生地のウェアを出していますが、これも130gと軽量。

ちょっと安く買えますが、やはりこちらも品薄。

 

あと、こういうのが得意なはずのポーラテックはどうしたの?と皆様思うでしょう。

ポーラテック社、このカテゴリーの素材で、アルファダイレクトという素材を作っていますが、供給先を絞っているのか採用している会社は少なく、評判としてはオクタとプリマロフトアクティブと比べると・・・あまり芳しくない。

ちなみに山と道がタイツに採用しています。

残念。

 

という事でこれから数年は、プリマロフトネクストと帝人のオクタから目が離せません。

面白い商品が楽しみ!