カモシカロングトレイル

トレイルランニング・登山・ULハイク・マラソン。書き捨て御免。※本ブログはプロモーションが含まれています。

ゴアテックス、シェイクドライやめるってよ。

GORE-TEXがSHAKEDRY™の生産を終了

ゴアテックスがシェイクドライの生産をやめるみたいです。

 

シェイクドライの生産において、当初よりメンブレンの染色が難しいとされていました。

そしてその工程の生産性の向上が見込めない為か、いつからか黒以外は生産を終了していましたね

 

初めてこのシェイクドライの生産中止のニュースを目にした時、その生産性の問題での展開終了かと思ったのですが、どうも2025年の欧州のフッ化物の生産規制(ほとんどのフッ素化合物が規制されます)と、それにともなう事前自主規制の流れで生産を中止するみたいです。

 

欧州のフッ化物規制強化の影響?

今回の規制自体も、実はまったく対象フッ化物を生産が出来なくなるものではなくて、生産工程やその後のフッ化物の飛散や流出による人体への残留をクリアできれば生産は出来るみたいですが、シェイクドライにおいてはそれをクリアする事が出来なさそう、というのが判断なんだろうと思います(※完全な憶測です)。

 

以前からゴアテックスではメンブレン製造時に、毒性の高いフッ素化合物(主にPFCEC)の発生が問題視されていて、2020年までに85%が毒性の高いフッ素化合物が発生しないメンブレン・および製造方法に転換されてきました。

だけでなく、2023年までに100%の製品をPFCECフリーにすることを目標としてきましたが、シェイクドライにおいてはそれが難しく、また、代替品の展開も間に合わなかったのでしょうか。

 

実は、欧州のおいては化学物質の規制が年々、めちゃくちゃ厳しくなっていまして、来年2023年からは長期渡って残留する様な有害物質は、EU圏内に輸出するすべての物において、微小量であっても全く使用できなくなりそうです(REACH規制の改定の為)。

 

既に日本の製造現場でも、欧州に輸出する可能性のあるものは材料はもとより、生産設備の清掃や梱包に使うガムテープに至るまで、使用している物や変更があれば全てを報告する必要があります。

2022年初頭から私みたいな日本の底辺会社員までめっちゃしわ寄せが来ています。

 

シェイクドライは理想的なレインウェア素材だった

シェイクドライ、私はゴアテックスの一つの到達点だと思っていまして。

一般的なゴアテックスファブリックは3層若しくは2.5層(0.5層はインナー側のプリントで代替している生地)が普通だったのが、アウターの層をなくし、疎水性のあるゴアテックスメンブレンをそのまま表地とし、貼り付けたごく薄い裏地で引張強度、縫い目強度を持たせている生地です。

 

表地が無くなり、かつ裏地も極薄な為、

  • ジャケットで100g台と超軽量(普通のゴアテックスジャケットは300g程度)
  • 疎水性のあるメンブレンが裸で存在する為、極めて撥水性が高く、かつ経年劣化も長時間使用による低下もない
  • 防水生地としては他の追随を許さない透湿性(撥水ウィンドシェルに匹敵)
  • 日光や湿度で劣化しない

と、とんでもない生地です。

よく、「シェイクドライは完全防水ではない」と言いますが、実用的には完全防水と思って問題ありません。

台風の日も含めた50日以上雨の通勤ランで使って来た私が言うんですから間違いありません。

それどころか、途轍もなく高い透湿性のお陰で、一般的なレインウェアの様にシェル内で結露が発生しにくいため、雨の中の保温性、という事で言ったら群を抜いて高いと思います。

 

もちろん、摩擦に途轍もなく弱い、とか、強度的にどうか、という弱点も有りますが、山の中で傷付けたくなかったら、私は中間着の下に着ようとさえ思っています(幸いそこまでのケースには遭っていませんが)。

 

で、そんな素晴らしいゴアテックスシェイクドライが今後手に入らない・・・というのは本当に辛い。

 

今後の入手方法と代替品

色々と海外の記事を翻訳して読んでみると、どうやらウェアメーカー(グループ企業のゴアウェアも含む)たちは生地在庫を積み上げていて、ある程度の期間は供給できる体制にはあるみたいです。

ただ、それも恐らく数年が限度。

それまでにゴアテックスの最終形態の様なこのシェイクドライの代替品が出てくるとは思えません。

 

今現在、代替品としてゴアテックスで使えるのがパックライトプラスです。

パックライトプラスは、ゴアテックスパックライトの2.5層構造(2層+肌離れの良いプリント層)のプリントを排し、裏地としても機能するようにメンブレンに凹凸加工を施した生地です。

そのお陰で他の2層防水生地みたいに肌に貼り付きにくくなっています。

しかし、シェイクドライと違って、アウター側の撥水性は低下していくし、長時間の使用で表地に水の膜が張ってしまい、透湿性も著しく低下してしまいます。

軽量性はさほど変わりませんが、ランナーの様な運動量の多い人間にとってはあまりメリットのない素材と言えると思います。

 

そう考えるとやはり表地側にメンブレンがある物が圧倒的にメリットがあると思うのですが、ゴアテックス以外の防水生地メーカーが出しているメンブレンはほとんどがウレタンなどの加水分解しやすいものなので、日光と水分が直接当たる外気側に配置した場合、長期使用時の劣化や撥水性の低下、硬化ムラによる見た目と性能の悪化などが懸念されるため、ゴアテックスの様なフッソ樹脂系以外でシェイクドライと同等品が現れることは無いと思います。

 

シェイクドライに迫るものが出てくるとしたら帝人のレクタスの様な繊維構造と撥水加工を組み合わせた単一な生地になるかもしれません。

 

どちらにせよ、今、世界ではPFCフリーという熱狂的な大ブームが来ていますので、フッ素樹脂を得意とするゴアテックスには逆風も逆風、と言えるでしょう。

 

長々と書きましたが、兎に角、今シェイクドライのウェアを持っている人はそれを大事に使いましょう。

それが黒以外の色付きだったら大勝利ですよ!

つまりワイ、大勝利です。

 

 

以前書いた、ビームス別注カラーのゴアウェアのシェイクドライ。

これ、もう着るのがもったいないな・・・。

 

そして今、持ってない人で欲しい人は見つけたらすぐに買いましょう。

 

 

ほとんどもう無いけど。

あとは俺たちのモンベルでピークドライシェルを買うしかない!

webshop.montbell.jp