カモシカロングトレイル

トレイルランニング・登山・ULハイク・マラソン。書き捨て御免。※本ブログはプロモーションが含まれています。

ベルセルクの作者、三浦建太郎が死んだ

三浦建太郎が死んだ。

 

死んだ。

オレがこの世で最も好きな作品。

今まで読んできた数千の小説、数百の映像作品、数百の漫画の中で、ただベルセルクだけが、オレに夢を忘れさせた。

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私はさほどマンガに詳しいわけではないです。

ジャンプ黄金期に中学生を過ごした世代としてごく普通に漫画は身近にありましたが。

年齢を重ねるごとに漫画を読む、次号を待つ、買う、というのが少しずつ難しくなり、今では私が買っている漫画はバガボンドとベルセルクのみになりました。

ちなみに妻はNANAを買っています。

 

否、我々夫婦は買っていない。

全然買っていない。

バガボンドもベルセルクもNANAも、全然新刊が出ないからです・・。

 

バガボンド コミック 1-37巻セット (モ-ニングKC)

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噂によると、こういう状態を「富樫、仕事しろ」というらしい。

そう言う理由は良く分からないが、多分、この世のどこかにネームだけで連載に載せちゃうような漫画家がいるのかもしれないです。

 

まあとにかく、ですよ。

私は30年来のベルセルクファンです。

とくに、黄金時代編以降、全ての絵が素晴らしく、心に響くセリフやシーンがちりばめられています。

こんなにも、何でもないシーンが印象に残る作品は、漫画では私は出会いませんでした。

小説なら、白夜行。

 

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映画なら、北野武の「あの夏、いちばん静かな海」が、私にとってはそういうシーンで彩られた作品です。

 

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ただ、それらよりもずっと、私の心に深く刺さっている作品。それがベルセルクです。

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ベルセルクは様々な作品の影響を受けて書かれています。

指輪物語などの古典的なファンタジー作品はもちろんですし、ゴッドハンドの元ネタはヘルレイザーというホラー映画な気がしますし。

 

様々な作品の影響を受け、しかしまったく独創的かつ圧倒的な深みのある世界を構築したわけです。

そしてつくられたベルセルクは恐らくこの30年間で、他の作品に最も影響を与えた・・・とかいう事はどうでもいいや。

そんなことを書きたいんじゃない。

 

とにかく、この作品を私は愛していました。

よく、ファンの間で冗談として、「ベルセルクが完結するのが先か、ウラケン(作者)が死ぬのが先か、オレが死ぬのが先か」なんて事が言われていました。

 

「どうせ先にウラケンが死んで未完に終わる」とも、よく夫婦で言っていました。

でも、私たちが言っていたのは、書き込みが度を過ぎて遅々として話が進まず、80歳くらいになってもベルセルクの刊行を待っている我々夫婦をよそに、100歳くらいになったウラケンが筆を握りながら死ぬ的な未来です。

そんな苦しい死に方をしてほしくはなかった。

 

ベルセルクの主人公は特別な血を引いているわけでもなんでもない。

ただ、子供の頃から暇があれば大きな剣を振り続け、戦場に出続ける。

主人公の強さを裏付けているものはただただ、努力と経験と知恵だけなんです。

私はガッツはウラケンの自己投影だと思っています。

ただただ筆を取り、書き続け、調べ続け、妥協無く書き上げる。

数百の戦士、馬を一人で書き込み続ける漫画家がいますか?それも一生遊んで暮らせる富を手に入れているのに、です。

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巻を重ねるごとに書き込みは細かくなっていき、極めつけは作画のデジタル化です。

デジタル作画を導入して楽になるはずだ、と普通は思うのですが、ウラケンは「すげえ!便利だ!めっちゃ書き込めるやん!」と、1ドットまで書き込んでいたら編集に羽交い絞めで止められたそうです。

まさにエンジョイアンドエキサイティング。

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このエンジョイアンドエキサイティングというセリフを言うキャラクターは、敵キャラなんですが、非常に魅力的なキャラで、私の最も共感できるキャラでした。

それからエンジョイアンドエキサイティングは私の座右の銘になりましたね。

他にも、ほとんどすべてのシーンを思い出せます。好きなシーンも腐るほどあるし、絵だけで好きなものもたくさんある。

 

私は思うんです、ベルセルクはバトル漫画じゃない、ラブストーリーだと。

一人の女を愛しぬく、ただそのために殺して殺して殺しまくる。

自分の命を引き換えにしても復讐したい相手、その相手を目の前にしても、愛する女性を守る事を選ぶ。

 

また、友情物語でもある。その描き方も良い。

時の流れは妙におかしいもので血よりも濃い物を作る事があるよね。

あ、そういえばB'z、サブスク解禁しましたね。嬉しいです。

 

でもよく考えたら、この終わり方で良かったのかもしれません、作品としては。

ウラケンは「ハッピーエンドになるよ」と言っていたそうですが、どう転んでも、これから先、一行にはたくさんの不幸が待っています。

それが今、今現在は主人公一行は、初めての安住の地で、愛するものと一緒に過ごせているわけです。

永遠にこのままでよかったのかもしれない。

 

ただ、私は悲しい。悲しいだけ。

今まで生きてきて、有名人が死んでここまで悲しいと思ったことはないです。

 多分誰にも分からないかもしれない。

私にとってはこの30年間、まさに青春を一緒に過ごしてきた漫画です。

青春そのもの。そう、青春が終わったような感覚、です。

 

キモい?ナイーブすぎるだろ?

 

そうでしょう。自分でもそう思いますよ。

 

まあしかし。いつまでも嘆いてはいられません。

行かなくちゃ。私がウラケンの本当のファンなら、行かなくちゃ。

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合掌。

三浦健太郎先生、ありがとうございました。

ファンの皆様、これも試練だと思って、乗り越えましょう。

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ベルセルク 1 (ヤングアニマルコミックス)